ココロのつぶやき@はてなブログ

南の島からの帰国子女で作家。2005年『講談社X文庫新人賞』受賞。現在、『文学フリマ東京』を軸に作品を発表中。

<立ち読み>ウソのようなホントの話 1 ~海外のオバケ編~

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帰国子女の作家・愛奈穂佳が、シンガポール時代とLA時代に旅した国々で遭遇したガチの心霊体験エッセイ第一弾。

 

【目次】

 

・戦争に行ったコップインドネシア

・ラスベガスでピラミッドアメリカ合衆国ネバタ州)

・首ナシ幽霊がたくさんいる世界遺産(メキシコ)

 

 

<戦争に行ったコップ>

 

体格含め、見た目は幼さが残る『小6』男児だというのに……顔つきと醸し出している雰囲気は、誰が見てもはっきりとわかるくらいの『おっさん』が……そこにいました。

 

ソイツは母、父、私をゆっくりと睨みつけてから、低い低い声で苛立たしそうに言いました。

 

「戦争に行ったコップはどうした?」

 

間違いなく、聞いたことのないおっさんの声でした。

 

「………………」

 

コレはタダゴトではない……と、母と私は臨戦態勢になりました。

 

父は、自分の理解の範疇を越えると即座に現実逃避するので、『あとはまかせた!』という目配せを私と母にしながらベッドの中へと逃げ込みました。

 

「戦争に行ったコップはどうしたと訊いている!」

 

おっさんは、さらに苛立った声と共に殺気を放ちながら身を乗り出し、再度、同じ内容を口にしました。

 

(略)

 

私が適当なことを続けようとしたら……母が、全力で私を殴りました。

 

(え?えぇ…!?)

 

言葉にならない驚きと動揺で動きが止まった私と入れ替わるような流れで、母が弟に対してマウントポジションを取りました。

 

いわゆる、『馬乗り』状態です。

 

不意を突かれたらしく、弟に憑依しているおっさんも一瞬、動揺した空気を出しましたが、次の瞬間には、殺気全開で母を睨みつけていました。

 

母も、冷たいまなざしで弟を見下ろしています。

 

(え……?何?何がどうなってる?)

 

私はどう動けばいいの?と困っていたら――

 

「!?」

 

突如、馬乗り状態の母が弟に往復ビンタをし始めました。

 

母親が小6の息子に馬乗りになって容赦ない往復ビンタを喰らわしている……

 

誇張ではなく、読んで字のごとく、『往復ビンタ』が止まらない。

 

ビンタが、往復されている……。

 

 

<ラスベガスでピラミッド>

 

古代エジプトのピラミッドをモチーフとしているホテルで遭遇した奇怪な出来事4連発。

 

部屋の電気を消そうとしたら、電気のスイッチがどこにも見当たらないので、ホテルのフロントに電話をかけ、ホテルの人に来てもらうことにした私。

 

ところが、どれだけ待ってもホテルの人はやって来ない。

 

イラっと来たので、再度、フロントへ電話をしたら……

 

「先ほど電話尾した部屋番号〇〇〇の者ですが――」

 

名乗り終えた瞬間、従業員は続きを言おうとする私の言葉に自分のそれをかぶせました。

 

「部屋番号、〇〇〇さんですよね!?」

 

切羽詰まってるというか、緊張しているというか、驚きを隠せない声でそう確認された私は……戦意喪失していました。

 

コレはタダゴトではないな、と。

 

嫌な予感に警戒しながら、丁寧な対応を心がけます。

 

「はい、そうですけど?」

 

「部屋番号、〇〇〇で間違いないですよね?」

 

「はい、間違いないです」

 

「さっきの電話の後、すぐに係の者を向かわせたのですが……係の者が、〇〇〇という部屋はなかった……と戻って来たんです」

 

「は?今、内線、繋がってますよね?」

 

「はい」

 

「ということは、〇〇〇という部屋は存在してますよね?」

 

「はい」

 

「ということは、その従業員、ウソをついたってことですよね?」

 

「それが違うんです」

 

「は?」

 

「〇〇〇という部屋が存在しないわけがないので、私もそのその従業員が嘘をついたと思い、彼に同行したんです」

 

「はい」

 

「そうしたら」

 

「はい」

 

「本当に、〇〇〇という部屋が見当たらなかったんです」

 

「は?」

 

「……」

 

「ちょっと待って!何言ってるの?私は電話機に貼られている部屋番号のシールを見ながら部屋番号を伝えたし、内線は繋がってる宿泊名簿にもここの部屋番号が記載されてるハズでしょ?」

 

「はい、間違いなく、そちらの部屋番号はこのホテルに存在しています」

 

「じゃあ、来れるでしょう?」

 

「しかし、行けなかったのです」

 

「なぜ!」

 

「その部屋が見当たらなかったからです」

 

 

<首ナシ幽霊がたくさんいる世界遺産

 

世界遺産を楽しむどころか、ジェットコースターの勢いえ見たくもない、見なくてもいいものをたくさん視てしまい、実際には存在していない血なまぐささ、よどんだ空気、腐臭なども感じてしまった私は、ほとほと疲れ果てていました。

 

滞在先のカンクンのホテル周辺を散歩してくるという両親と別れ、先にホテルの部屋に戻った私は、ベッドに横になって少しお昼寝でもしようとしていました。

 

――と、その時。

 

トントン、と肩を叩かれたような気がしたので、条件反射で振り返ったら、ドンっと突き飛ばされ、ベッドに仰向けに倒れ込みました。

 

すわ強盗か!?と私を突き飛ばした輩を確認して……現実逃避の気絶へと逃げ込みかけ、ダメだダメだダメだ!そんなことしたら取り返しのつかない事態になるやも知れぬ!と即座に思い直しました。

 

私の肩を叩き、突き飛ばし、馬乗りになる……という流れるような動きをしてくれたのは、マンガやアニメでよく見かけるような古代をイメージした衣装の首のない成人女性でした。

 

チェチェン・イッツアの世界遺産で最後に訪れた『セノーテ(聖なる泉)』に居た女性たちの一人……のようです。

 

(連れて来たのかついて来たのか……)

 

全力で嘆くことしかできない私に構うことなく、首なし成人女性の幽霊は私の首を絞めてきました。

 

同時に、金縛りです。

 

(え……!?)

 

私は、ぷちパニックです。

 

金縛りは『お約束』だとしても!

 

なんで、幽霊が人間の首を絞められるの?

 

リアルに首を絞められていて、苦しいんですけど!

 

マジでヤバイんですけど!

 

この首なし成人女性の幽霊は、本気で私を殺そうとしている。

 

(首が……欲しいのかしら?)

 

すげかえることなんてできないのに……と思わず苦笑。

 

 

・2018年5月6日 初版発行

エッセイ/文庫サイズ/92ページ/1,000円(イベント価格)/1,300円(イベント価格)

 

 

(2018年11月  『第27回  文学フリマ東京』にて)

 

 

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